一教動作について

合気道において初心者の方々が最初に習うのは、磐石な立ち居振る舞いと半身、前後の受身等で、技としては合気道の奥儀「入り身転換術」であり「体の転換(変更)」である。

稽古に際しても大先生はその道場訓で「最初は体の変更から始め」と仰られたように、毎回の稽古で必ず「体の転換(変更)」は行われる事からも非常に大切な奥儀であると言える。

ついで一教として最初に教わる技は「相半身交差持ち一教抑え込み」である。この一教という意味は最初に教わると言う事であり、門川師範からは「一教」は抑え込みを意味するのではなく「斬り上げ」動作を意味すると教わっております。

この事から私自身師範のお教えや大先生のお教え等を下に色々と研究していくと一教動作とは剣や杖での正面打ち動作の事であり、「敵人の走り来たりて撃つ時は、一足避けて直ぐに斬るべし」と言う大先生の道歌は「正面打ち一教抑え込み」の理合を説いた物だと理解しております。

門川師範からは「杖や剣での素振りで横面打ちは袈裟懸けに腕だけで斜めに切るものではなく、あくまで正面打ちのように正中線を守って、身体を斜めに傾けて受けの面を打っていくもの。」と合気道の理合での横面打ちをお教えいただきました。

正中線を守ると言う事を突き進めて行けば、最も細い正中線で横面打ちを行おうとすると師範のお教えどおりになります。つまり横面打ちであっても正面打ち動作、一教動作で正中線を守った斬り上げ斬り下ろし動作が肝要であると言う事だと思います。

その様な事からも一教動作は合気道における重要な理合であり、あらゆる技の中心に一教動作があると考えられます。

ここ一月以上、現在の「眞武館」ではこの一教動作を入念に稽古をし、一教動作の理合での技の繰り出しを身体で覚えるように稽古いたしております。

剣や杖での正面打ち動作は無意識に半身の姿勢での正中線を真正面にすえる鍛錬となります。合気道において正中線を守る動作の真ん中に一教動作があるのでは無いのでしょうか?