合気道 における間合いについて

合気道 の基本理合

合気道 を初めとする武道にとって「間合い」は非常に大事な理合です。武道だけでなく動物全般に上手く「間合い」を取れないと日々の生活や生命さえも危うくする生きていく上での大切な要素でもあります。

人はドアの開閉の為にノブを握ったり、棚の上や机上の荷物等に手を伸ばす事が日常の生活の場で当たり前のように行っています。

この際にドアのノブや荷物などとの間合いを間違えて突き指をしたり、手首をねじってしまったり、あるいは荷物を押してしまって落としたりという様な事はめったな事では起こりません。

つまり、人間や動物ははじめから「間合いを見切る」能力を有しているのです。

なのに合気道の稽古の場面で「間合い」を違えている「間違い」を犯される方を散見いたします。

これは緊張したり「上手くやろう」と言う我欲にとらわれたりして本来ある能力を見失ってしまわれているからなのだと思われます。

それが為に合気道では「平常心」や「脱力」をした「自然体」を重要視しており、「合気道に構えなし」とされております。これは魂魄両面、つまり精神的にも身体的にも「構え」を作らない事が肝要です。

昨日の稽古ではこの「間合い」についての理合の説明をさせていただき、最初は交差持ちでの受けが取りの手を交差持ちでとる稽古を「握手」の形で色々な距離から行っていただきました。

どのような間合いからも「追い足」と「継ぎ足」で間合いをつめて、握手をした時には「絶妙」な間合いで握手が出来るようにしていただきました。これは合気道の「一足法」「一刀法」に通じる大事な基本動作です。

続いて正面打ちでの凌ぎ合いの形を同様に色々な距離から作り出していただきました。

最後に体の転換での間合いについて研鑽いただきました。

いずれも手と手が触れたときにはその立ち姿は半身立ちの姿で、歩幅は普段の歩みの半歩となるようにしていただきました。

大先生は「一歩を踏み出すと出る杭は打たれるから合気道での一歩は半歩である。」と仰っておられます。

自然体にたつと半歩の歩幅での立ち姿となり、半歩で歩むと「忍び足」になります。

「忍び足」は音を立てない歩み方ですが、音がたたないのは前後の足に均等に体重を乗せたまま歩めるからです。つまり磐石な歩みとなります。

「追い足」と「継ぎ足」、「半歩の歩み」、「裏三角」、「網代歩き」、「正中線を守る」は合気道の重要な基本動作のキーワードですのでこの点を意識して体の転換の稽古をしていただき、その後の技の稽古でもたびたび指摘をさせていただきました。

技の方は交差持ちからわき腹への当身、三教固め、回転投げへの連続した一連の流れを先の「間合い」「正中線」「後ろを取る」と言った基本動作を意識しての稽古としました。

最近は技を分解しての部分稽古を最後に繋げて一つの技となす様な稽古方法を取り入れておりますので一日に数点の技しか稽古できませんが、基本を大事にしたこの稽古方法で大きな成果の手ごたえを感じております。

理合と基本動作の習得を中心とした稽古を今後も工夫を凝らして行って参りたいと思います。