山彦の道と入り身転換反射道

山彦の道とは、ご存知のように合気道の事を翁先生が仰られたものです。曰く「山彦の道が出来れば合気道は完成じゃ」。

また、道歌にも、
「おのころの常立(とこたち)なして中に生く、愛の構えは山彦の道」とか、
「天地に気結びなして中に立ち心構えは山彦の道」、
「おのころに気結びなして中に立つ心磨け山彦の道」
「言霊の宇内にたぎるさむはらの大海原は山彦の道」
など多く遺されておられます。

これらの事から「山彦の道」は合気道を理解する為には避けて通れぬキーワードだと解釈しておりますが、同時に故田中万川師範の「入り身転換反射道」に通じるキーワードだとも考えております。

若輩の身である私の現時点の思いは、

「山彦」とは共鳴と反射の事であり、この二つがそろって初めて「和合」や「結び」の世界に入れる。

「山彦」は相手と自分とが結ばれる切っ掛けとなり、相手と自分との協調と和合の呼び水である。

「山彦(共鳴と反射)」は、自身の動作に対して受けが反射共鳴する事、自身の動きに対して自身が反射共鳴する事する事の両方があり、また、魂魄両方にそれぞれ反射共鳴が作用する。

「山彦の道」とは「入り身転換反射道」の事であり、「合気道」そのものである。

「山彦の道」(入り身転換反射道)とは「山彦」(共鳴と反射)により人と結ばれ「和合」する事を目的とした人生指針となる道である。

と言う風に考えており、この考えを合気道「眞武館」での指導の基本的な理念と致しております。

戦う実戦ではなく、他と和合する人生における生き様の実践を目指したいと思います。