受けが上手(うわて)

至誠館での私の師匠の門川師範から何度も「受けが上手(うわて)」というお話をお教えいただいております。取りよりも受けが上手の場合に合気道の演武は映えると言う事で、上手なものは必ず受けも上手であり、上達するには受けの稽古が欠かせず、上手な方に何度も投げられることが上達の早道と言う事だと理解致しております。

開祖もまた、「合気道は受けが極意」と仰られております。

今年の眞武館の稽古の中心を受けに据え様と考えております。ここ最近は合気道の指導において「徒に競い合う心」を抑えて「正勝吾勝勝速日」を実践して「神人合一和合」の合気道を目指した稽古を心がけておりますが、その手がけとして「受けの極意」の稽古を致して行きたいと思います。

つまり、受けは上手く投げられ受身を取るだけでなく、取りと呼吸を合わせ、常に備えの心で取組み、取りの動きや呼吸を見切ることが肝要だからです。受けでこれらを養うことが出来れば自然自身の技にその和合の心が生きてくるはずです。

受けの稽古と言うと、上手く受けを取ろうと取りを無視した自分勝手な受けを取られる方も多く見かけられますが、上手な受けとは取りと合一和合した受けのことであり、和合の心が無ければ幾ら受身が上手くても上手な受けとは言えません。

思えば20年ほど前、私の演武デビューとなった吹田市立洗心館道場での大阪合気会での演武会で、門川師範が受けの演武を披露すると仰られ数十名の大学合気道部の学生達に投げられたのは、この教えの実践だったのでしょう。

受けの極意を得る稽古に真剣に取り組む一年とし、眞武館門下生一同が上手な受けを取れるように成長していただきたいと思います。