考えすぎと見て取り稽古

長らく合気道の指導をさせていただいておりますと、ビギナーの多くの方が「考えすぎ症候群」にかかられるのを目の当たりにする機会が結構多くあります。

これは技の途中で考え考えしながら技を行うという症状で、悪化するとほとんど動けなくなります。合気道はその名が示す様に「気」が大切であり、気の流れを滞らせる様な事があってはなりません。

大先生は「いち・に・さんを作ってはならない」と仰ったそうで「いち」の息、つまり「すうぇい」の息で行う事が大切です。

その為には、技の途中で考えるのではなく、技に入る前に考えイメージを作り、そのイメージをなぞって型稽古を行うように眞武館では指導しております。

また、この事から、多人数で並んで稽古をするような場合、待っている間に一人で踊るように自習をなさるビギナーの方もおられますが、これも理解していない未熟な考えを試すのではなく、せっかく目の前に上手な方や同じくビギナーの方が見本を示しておられるのですから「見て取り稽古」に徹して、稽古中の方のどこが良くてどこが悪いのか、自分ならどうするのかイメージを作る稽古とすべきです。

目の前の稽古を無視して一人唯我独尊で踊っていても下手な稽古は休みに似たりで、悪い癖を冗長するだけに終わる可能性が高いものです。

必死に他人の稽古から何かを得る努力が肝要です。そこで自分の姿に置き換えて技のイメージを作り、そのイメージにどれだけ近づけるかを試していかれてはいかがでしょうか。

自分の中で一人でいくら試しても間違った動きを百回繰り返したら間違える稽古をしていることになります。それが悪いくせになります。一人踊りよりも見て取り稽古、見て取り稽古よりも上手な人の受けを人一倍受けることが上達の早道だと思います。