近道を知る

昨夜は合気道「眞武館」緑地公園道場の稽古日でした。

この道場は板の間ですので、受身に不慣れなビギナーの多い眞武館では、極力無理を押しての受身は避けて、普段の稽古では指導が行き届かない手先、足先や体捌きについて手取り足とりで指導させていただき、平素の稽古で出来ない正しい動作や技の矯正をおこなわさせて頂いております。

昨夜も、「前後切返し正面打ち体の転換」で正中線を正しく前に向けた体の転換動作への矯正を行い、デンデン太鼓の要領での体の転換で、遠心力と体全体を使った自己の中での反射動作による体の転換等を入念に行い、大きな気の流れの中での体の転換となる様に組み稽古でも行っていただきました。

これに続いて、正面打ち一教押さえ込みを細かに解説しつつ分解して組み上げて行って頂きました。

まずは、くの字に入る網代歩きによる死角からの食い込み体捌き、抜刀の動きや杖回しと交差持ちでの一教動作の同じと違いの解説と稽古。一教動作での脱力と上からの押え込みではなく、臍下丹田への切り下ろしによる押さえ込み動作についての解説と脱力との関係の実演と稽古。

続いて腕押さえの場合と入り身投げの場合の最初の気合わせの違いと入り身の深さの関係、受けの脇下に入った瞬間に如何に相手より優位な位置に入るか、受けを引っ張るのではなく真空の気と切り下げ動作による崩しの実践。最後にぶつからずに入り身投げに収める動作の実践とつなげました。

ビギナーの多い稽古でしたが、この日の稽古終了時には相半身正面うち一教腕押さえも入り身投げも全参加者が姿勢を崩さず柔らかく大きな気の流れの中で技が出来るようになられました。非常に満足のいく稽古でした。週に一度このような稽古も良いものです。

最後にいつもの整理運動を行って本日の稽古を終えました。

その帰り道に十六番弟子N田さんより私が先週帰りに向かった道筋は遠回りだとお教えいただきました。地元の十八番弟子M田さんがわざわざ山崎駅まで案内していただけるとの事。

ずっとバイク通勤で使っていた道なので近道には自信が有ったのですが、地元の方に教わるとこれまでの道は却って遠回りに迂回しておりました。

やはり近道は地元の方にお教えいただくに限ります。たぶん合気道も同じことが言えるのでしょう。

不用意に教えを請うと却って遠回りになる事があります、教えを請う場合は相手を良く見て誰に教えを請うのがベストかを常に見極めなければなりません。その見極めが出来れば既に自身が上達しているのですから「鶏が先か・・・」の話になってしまいますが、くれぐれも教えを請う相手は注意して選ぶべきです。

門川師範が先ごろおっしゃっておられました。「まずは道場では師範の教えを学ぶ事。稽古後や休憩時間に諸先輩に教えを乞う事があっても、稽古中の指導は師範が行うものが優先である」と。

普段誰がどのように指導しても何も仰らない寛容な師範が珍しくこのような事を仰られました。しかし、私もそのように思います。自分の師範が指導される事が先ず出来る様になることが肝要です。ビギナーを指導に当たる有段者諸氏は自己の独自のやり方を指導する以前にその指導時間の指導者の教えを噛み砕いて指導する事が大切です。自己のやり方を指導したければ自己の道場をつくり、その場で指導すべきだと思います。そうでないとその道場の指導者がお教えしようとしている事からすると遠道を指導している結果になっている恐れがあります。

自己の分かる範囲で師範のお教えを噛み砕いて後輩を指導する事が肝要で師範と違う自己流をその師範の道場で教えるのは筋違いです。「教える事は学ぶ事」の実践はそうのようでなければ実現出来ないと思います。

(2012年の本日までの稽古時間/稽古日数=234時間/95日)









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