体の転換

財団法人大阪合気会では「体の転換」を稽古の最初に必ず行います。

他の合気会系道場でも名称は異なれど「体の変更」や「体の変換」等の名称で行なわれているものです。

「道場訓」には、「日々の練習に際しては体の変更より始め逐次強度を高め身体に無理を生ぜしめざるを要す然る時は如何なる老人と雖も身体に故障を生ずる事なく愉快に練習を続け鍛錬の目的を達する事を得べし 」とされていますが、実は「体の転換」は、合気道の奥義である「入身転換術」を最初に稽古して、つづく各技の中に必ず「入身転換」の理合いを盛り込む為に、意識すると言う事に、稽古の最初に行なう大義があると思います。

ただ、私の考えでは、単に「入身転換術」の理合いを思い起こすためだけではなく、合気道そのものを指す「正勝吾勝勝速日」、つまり「たゆまず、徒に争うとする己が心に勝ち、常に万事に勝つ」至誠、眞武の心を養うために、最初に「氣合わせ」「氣結び」「氣納め」の修行として「体の転換」を行なうのだと考えております。

だからこそ、最初に行なう体の転換で徒に競う合うような心は捨てるべきであり、相手を引っ張ろうとか動かそうとか、崩そうという気持ちで相対するのではなく、あくまで取りは受けの気に気を合わせて、受けを導く事が大事なのだと考えます。

争わない眞の武道である合気道は、先ず、徒に競い合わないことを肝に銘ずる「体の転換」から稽古に入っていくのであり、この「体の転換」で受けの動きとぶつかっているようでは、「合気の心」を計り知る事は出来ないのであろうものと思われます。

眞武館での稽古はじめの「体の転換」は、心技体の一致、これを「体の転換」の稽古として最初に行うものです。