大切にしたい「見て取り稽古」

満員の道場で稽古をしていると、受けの順番待ちで並んで待つ場合がある。

その様な受けの順番待ちの時に、順番を待ちながら一人、もしくは二人で勝手稽古を始める方が散見される。

これは道場での礼儀上も稽古中の取りの方や受けの方に対して大いに礼を失した行為であり、注意散漫により正規の稽古中の受けの方が受身で飛んでこられたり、勝手稽古側が受けに飛んで順番待ちの方にぶつかったりと危険な行為でもある。

この様に受けの順番待ちでの勝手稽古は熱心さから来るものであっても見苦しく礼を失した武道家として恥ずべき行為だと我が眞武館では指導させていただいている。

この様な礼儀上の問題であるだけでなく、勝手稽古を盛んになさっておられる方々は貴重な「見て取り稽古」の機会を失している事に気付かれておられない。

「へたくそが稽古しているのを見ても役にたたん」と仰る方もおられるかもしれませんが、私自身は師匠の門川師範から「見て取り稽古の重要性」を時につれ何度もお教えいただいている。

「上手も下手も皆、我が師匠」である。

上手な方の技を見て取る重要性は言わずもがなですが、「下手な方はどこがいけないのか」、「どうすればよくなるのか」をじっくりと見て取る事によって自身の技のヒントや他の方の指導をさせていただく時のひらめきを得る事が出来ます。

出来ていないものが出来ていないもの同士や一人勝手で稽古をいくらしても出来るわけはありません。

「下手も上手も皆、我が師匠」を旨にして、じっくりと他の方の技を見極める訓練に精を出せば、本物を見分ける眼力もつきます。

また、次にどう動くか等の見切りの稽古にもなります。

特にこの見切りの稽古は大切で、合気道の技の速さは「先の先をとる」とか、「後の先を取る」等と言う「徒な競い合い」に通じる様な事ではなく、「見切りの速さ」が技の速さを決めます。これは大先生の教えでもあります。

人の動きを見切るためには上手も下手も問わずまず人の技を見る事です。ここに「見て取り稽古」の重要性があります。

見切りの稽古はこの他、真剣な稽古と受けの稽古によっても養われます。

「見て取り稽古」を大切にしたいものです。同時に眞武館では真剣で真摯な稽古と受けの稽古を大事にしていきたいと思います。