気の流れの準備動作(ゆっくり、まるく、おおきく

眞武館の稽古は、必ず相半身交差持ち一教押え込み技に気を乗せる基礎動作の鍛錬稽古から始める事にしている。

これは、一日の稽古が小手先や腕力の稽古になることを防止し、大きな気の流れの中で正中線を守り、手腰足が全体一致した合気動作として技を繰り出す事を意識していただくための準備運動である。このため、この基礎動作は、極力「ゆっくりと丸く、おおきく」気の流れを意識して行なっていただくようにしている。

20年近く前に、主のように通いつめた(財)大阪合気会の合気学校にて、当時の校長であられた田中博昭師範から「稽古は、はじめはゆっくり、丸く、大きく行なってください。」とお教え頂いた事を踏襲している。

我が師門川繁美師範からは、「円を大きく、大きく、無限に大きくしていくと結局直線になります。即ち、一番大きな円弧が直線です。」と言う教えと、「合気道は、無駄を省いていく事をその研鑽の一つとしています。つまり、合気道は省略して、省略して完成させて効率の良い技として昇華させて行きます。」と言う教えを頂いております。

究極的には、門川師範の仰る合理的かつ効率的な技に昇華させると共に、見た目は直線的であってもそこに「円転・球転」の理がしっかりある動きに達する事が肝要であり、目的なのですが、まず、無駄は多いけれど、先に述べたように小手先や腕力の稽古になることを防止し、大きな気の流れの中で正中線を守り、手腰足が全体一致した合気動作として技を繰り出す事を体現できるようにし、あるいは身体で理解した上で、省略の昇華の段階に入るのが理想だと考えています。

この「ゆっくりと、まるく、おおきく」を意識し、そこに気の流れを意識した稽古を行なってみるとわかる事なのですが、誰もが知らず知らずの内に正中線を意識し、膝の柔らかさを意識し、身体全体の脱力をした上で、手腰足の一致した正しい合気動作を意識した動きになります。

この基礎動作稽古を体の転換と同じく必ず一日の稽古の前に行なうことを眞武館の準備運動としていきます。